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じめじめした季節 爽やかな食事

投稿日:2010年6月1日 更新日:

この季節、梅雨のじめじめした空気は、人の気持ちも湿っぽくなりがちです。

しかし、しとしとと降る雨、どんよりした曇り空のこの季節は、来るべき猛暑の夏、動物も植物も1年でいちばん活発になる季節がもうすぐやってくる季節でもあります。

この季節、食の世界では、鬱陶しい天候に負けないよう、なるべくさっぱりしたものをメニューに加えたり、その日の天候によって冷やしの煮物で夏を感じさせる演出を心がけます。

雨の季節を楽しむ気持ちからは、寒天を3色に彩った甘味を紫陽花に見立てたり、青梅の鮮やかな緑を使って食卓を引き立てます。

この季節の定番として、「いちじくの蜜煮」はアールグレイの紅茶を蜜で煮出した後、ゼラチンで固めたものにごまのクリームチーズをかけた甘味ですが、毎年これを楽しみにしてくださっているお客様も多いようです。

毎年この時期に挑戦しているのは、「青梅の甘露煮」です。煮る時の火加減や時間もそうですが、煮る前に味を浸みさせるために針打ち(1個につき30回くらい)をするなど、丹念な作業が必要です。

梅の鮮やかな緑色を保つ、実がシワにならない、梅の香りを大切になど、ほとんど「自己満足」の世界ですが、すべてがうまくいった時の、ばんばんに蜜を含んだ梅煮を見ると、4日間の悪戦苦闘が報われた気がするものです。

本当に納得のいく青梅は、毎日市場に行っていても、この季節の中でも1週間くらいしか出回りません。その、一番良い時の青梅を入手してきて、すぐ仕込む必要があることも、料理人の心をくすぐります。

暮れに仕込む正月の黒豆などもそうですが、土地々々でさまざまな料理が伝わっている甘露煮系の料理は、いずれも手間がかかるうえに、技術的にも難しい、良い食材を入手できる期間が短いといった特徴があります。

手間がかかる料理ですが、そのすべての手間に「意味がある」もので、料理の奥深さを感じさせてくれます。

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