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どんな仕事に就くか 決めるのは自分

投稿日:2011年1月1日 更新日:

本紙 これまで「厨房からみた仕事観」という視点で、仕事(職業)に対する見方、向き合い方について、料理人としての修業時代の経験をも踏まえて、お考えを聞いてきました。厳しい修行に耐えることの必要性というのはわかるのですが、一方では「就職氷河期」で、修業に耐えるチャンスすら与えられない若者が大量にいるのも事実です。

佐藤 職に就きたくて、何度も面接に行ったり、もの凄い努力をしているのに就職できない、たくさんの若者がいるのは事実です。ただ、自分がどんな仕事をやりたいのかはっきりしないまま、卒業が近づいたから職探しという人が多いのではないかと感じます。就職戦線で人気のある大企業に集中し、中小企業にはほとんど無関心という傾向も気がかりです。就職までも「ブランド志向」なのか。もちろん、全部がそうだというわけではないでしょうが。

本紙 先日も「就職氷河期」を伝えるテレビで、中小企業の求人担当者が「自分らのような企業や仕事のことは、なかなか知ってもらえない」と、ぼやいていました。

佐藤 不況のせいで求人数が減っていることも確かでしょうが、みんなが限られた大企業をめざして集中するから、ますます狭き門になっているという面もあると思うのです。みんなとは別のところで、自分独自の目で探せば、いろいろな仕事が世の中にはあるのではないでしょうか。だから、自分が本当に何をやりたいのか、どんな仕事(会社にではなく)に就きたいのか、きちんと決めてから「就活」すべきだと思うし、それは好不況に関係ない鉄則と思います。

本紙 よく言われるように「就社」志望ではなく、本当に「就職」志望かどうかということですね。

佐藤 私自身、高校を卒業して料理の専門学校に入った時、それまでの友達は、ほとんど大学へ進学していきました。学歴社会の中で、自分の選択はどうだったのかとも思いましたが、逆にそのことが、立派な料理人となって、大学に行った連中を見返してやるというバネとして、厳しい修行に耐える原動力にもなったと思っています。大学に行ったら行ったで、「就活」の時に「大学まで出て、そんな仕事・・・・」という気持ちが、「ブランド」以外の企業や職種に目を向けさせない垣根となっているのだったら、何のための大学だったのかということにもなります。

本紙 「ブランド」というのは一種の「情報」です。現在の「就活」事情を観察していると、みんなが「情報」に振り回されている面もありますね。これもテレビで見た風景ですが、「就活」中の若い女性が、片時もスマートフォンを手離さず、刻一刻と送信されてくる求人情報をチェックしている場面がありましたが、考えてみると、多くの若者が携帯端末をもって分秒を争って同じ情報源にアクセスしていることになります。つまり、他人との差別化、他人よりも優位に立つための情報ではなく、ひたすら他人に遅れをとらないための情報の入手にしのぎを削っているわけで、何とも過酷な「情報社会の中の就活戦線」と感じました。

佐藤 「情報に振り回される」といえば、以前「味いちもんめ」というドラマがテレビで放映されると、料理人志望の若者が増えるといった現象がみられたこともあります。流行を追っかけるような気持ちで、料理人になろうと志望しても、厳しい修行に絶対ついていけません。

(写真)カラスミ。今年も手作りで大量に作りました。正月明けから使っていきます。

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