ちばにう通信

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一月 自然と文化の融合が魅力

投稿日:2012年1月1日 更新日:

あけましておめでとうございます。Happy New Year !

初めまして。今月号から連載エッセイを担当させていただくケビンです。

ぼくは25年間も千葉ニュータウンに住んでいます。ニュータウンが大好きです。特に、ニュータウン周辺に広がるカントリーサイド(田園風景)に魅せられ、このエッセイを通してその風景に染み込んである自然や文化の魅力を伝えたいと思っています。その前に、まず少し自己紹介させてください。

ぼくはアメリカ人、の生まれ育った故郷はニューヨーク市の下町、ブルックリンです。両親もニューヨーク生まれ、親父は退職までウォール街の銀行で働くごく普通のサラリーマンだった。ブルクリンだからベースボールの応援はヤンキーズではなく、メッツ!  I am a Mets fan !

子供の頃過ごしたニューヨーク郊外の田園風景と共鳴しあう

千葉ニュータウンの環境

ぼくには第二の故郷もある。ニューヨークから車で一時間しか離れていない場所だが、アパラチア山地の奥深い所、牧草地やリンゴ畑、雑木林、パンプキン畑などが広がる別世界の田舎だった。この田舎は「カントリー」とか「カントリーサイド」と呼ばれているが、子どもにとっては遊びの楽園だった。森や野原を探検したり、秘密基地を作ったりして一日を過ごしたものだ。

ぼくはアメリカの田舎と、ここニュータウン周辺の田畑との間に共鳴しあうものを強く感じている。もちろん、向こうは牧草地が中心、ここは田んぼで、風景の内容はぜんぜん違う。が、暮らしのペースと自然のペースがお互いにタイミングを合わせているという雰囲気は同じだ。

この自然と文化のお見事の融合こそ、カントリーサイドの最大の魅力に違いない。The countryside is a place where the rhythms of nature are in sync with the people’s lifestyles.

ぼくは、生物学や生態学のイメージが強いかもしれないが、もともとの専門は文化人類学。植物や昆虫などの知識は全部、独学として学んできたもの、生物学者よりもぼくはnaturalist(ナチュラリスト)といった方がよいだろう。

画像をクリックすると拡大画像が見られます。 (以下同)

多様で豊富なニュータウン周辺の自然

ナチュラリストは努力と根気の世界、その基本はひたすらフィールドを歩きまわって、自然界をできるだけ細かい所までじっと観察すること。ニュータウン周辺のカントリーサイドは人の手が入っているとはいっても、森林や水辺などの環境が豊富、そこに様々なタイプの生き物が暮らしている(つまり、生物多様性が高い)。ぼくは25年前、この豊かな自然に刺激されて、ナチュラリストを目指すようになった。The rich biodiversity around Chiba NT inspired me to become a naturalist.

 例えば、ニュータウン周辺で行われた植物調査の結果として、1km四方の調査地になんと700種類以上の植物を記録した。これを全部知り尽くすのは一人分の人生時間ではぜんぜん足りないが、とりあえず、ある程度に目立つ樹木や野草からスタート、写真を撮ったり、イラストを描いたりして、マイペースでできるだけ多くの植物に親しもうと考えている。ぼくの植物イラストはナチュラリスト流。芸術性よりも、その特徴を強調した実用的なものをめざしている。植物だけではなく、野鳥や昆虫、カエルなどもに写真やイラストを通して楽しんでいる。

人と自然のコラボレーション

いま一番ハマっているのは、ニュータウンとその周辺だけの樹木図鑑。ここは気候が温暖で、冬になると葉を落とす落葉樹と、一年中葉を着けている常緑樹の両方が混ざっていて、木はとにかく種類が多い。ぼくの樹木イラストは70枚を超えているが、これでも全種の半分しか終わっていない。More than 100 tree species can be found in the NT area.

カントリーサイドの魅力は自然に限られない。元々、白神山地のブナ林のような原生自然(wilderness)ではなく、維持可能な暮らしライフスタイル(traditional sustainable lifestyles)の営みによって誕生し、いままでも育まれてきた文化景観(cultural landscape)である。まあ、人と自然のコラボレーションの名作といえばわかりやすいだろう。

ニュータウン周辺の文化景観は、好奇心を誘う豊かな歴史跡や伝承文化に恵まれている。牧草地として、または利根川の河岸街として栄えた時代もあり、平将門や源頼政をめぐる伝説や「印旛沼の主」、「草深原のキツネ」の御伽などのlocal folkloreも豊富だ。民間信仰については庚申信仰、子安信仰、水神信仰など、代表的な形は殆どそろっている。宗像神社の美人三姉妹、頼政の忠実な馬、勇気と友情に溢れた竜、将門を裏切る絶世美人のfemme fatale(妖婦)などなど、信仰や伝承に登場するキャラクターはどこのテレビドラマにも負けないほど層は深い。

カントリーサイドのもうひとつの魅力として無視できないのは、神社やお寺を囲む社寺林(sacred grove)など、心を癒してくれるpower spot(パワー・スポット)だ。ぼくはナチュラリストでありながらmystic(神秘主義者)やanimist(アニミスト)でもあり、木や森、水辺、または小さな祠や野仏などに、目に見えない不思議な力が宿っていると信じる。ニュータウン周辺には、魂をリセットすることができる穴場が多数ある。

新たな感動求め散策する

 これからこのエッセイでカントリーランブリン(country rambling)というコンセプトを借りて、ニュータウン周辺の自然、歴史、文化などを訪ね、その魅力をたっぷり伝えたいと思っている。ランブリンは「ぶらつく」や「ぶらぶら歩く」といったほどの意味で、新しい感動や発見などを求めて、ひたすらひたすらあちこちを散策する、一種の「歩き探し」や「歩き学び」のスタイルと考えていただけばよい。

ニュータウン周辺の道を満喫するにはぴったりのスタイルだと思う。なお、北総の素晴らしい伝承文化により楽しく触れてもらうため、HOKUSO STORYBOOKを企画している。毎回典型的な伝承をピックアップして、簡単な英文で紹介するものだが、これもお楽しみに。

では、これから一年間の連載、よろしくお願いいたします。

   Once upon a time, a friendly young dragon was living in Inba Marsh. This dragon liked people, and often came out of the water to dance and feast with the villagers.
One summer, the countryside was ravaged by a terrible drought. The hatake fields turned brown in the hot sun, and the rice paddies were baked as hard as stone. Soon all the crops would be lost, and the villagers would starve.
The dragon felt sorry for his friends, and wanted to help them. One day he soared out of the marsh and flew straight up into the air. Soon afterwards there came a great thunderclap, and the rain started pouring down. The villagers clapped and cheered. “We’re saved!” “Hurrah for the dragon!” They yelled.
But then they saw three large objects come falling out of the sky. When they ran over, they found the dragon, broken into three pieces. Some think he broke up when he crashed into the top of the sky. Others say the King of the Dragons smashed him because he made it rain without permission.
The villagers were heartbroken. They picked up the pieces of the poor dragon’s body and brought them to their temples. Even today, the people of this area still offer their thanks to the friendly young dragon that gave his life to save them. His head and horns are enshrined at Ryukakuji Temple in Sakae; his torso at Ryufukuji Temple in Inzai; and his tail at Ryubiji Temple in Sosa.

Once upon a time 昔、昔(御伽の始まり言葉) feast 祝宴を楽しむ villagers村人たち  ravage 荒らす drought日照りrice paddy 水田 crops作物  starve飢える  feel sorry forかわいそうに思う  Hurrah万歳! smash叩き壊す  without permission 許可なしで(雨を降らした) heartbroken悲しみにうちひしがれた poor かわいそう offer thanks感謝の気持ちを伝える give his life命を犠牲にして enshrine まつる torso胴体

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