ちばにう通信

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八月 蝉時雨のみぎり

投稿日:2012年8月1日 更新日:

Best wishes during this season of the cicada serenade

 ぼくは千葉市若葉区にある東京情報大学で教壇に立っている。一年生向きの前期担当科目は「文化人類学」で、生徒の評価は学期が半分終わったところで実施する中間テストと、最後のビッグ・テストに基づいて計算する。最初に学生たちに配るスケジュールには、この両テストのタイミングはそれぞれ「クリの花が咲くころ」と「ニイニイゼミが泣き出すころ」と書いてある。

クリとニイニイゼミは信頼性の高い季節の便りだ。クリは6月の中旬で香の良い花を咲かせる。小さくて可愛いニイニイゼミは他のセミより一足早く出現し、7月の末、梅雨が明けるととたんに泣き出す。このセミの鳴き声はぼくの耳に「ニイイイイイ、ニイイイイイ、ナツヤスミイイイイイイ」と聞こえてくる。

このようなスケジュールを学校で使うのは、学生達に自然や季節の移り変わりに目を向かせたいと思うからだ。

  日本人は昔から、身近な自然の動きを徹底的にフォローして、独特な季節感を生み出してきた。例えば、猛暑が続く今の時期でさえ、伝統の暦や季節感の上ではもう秋が始まっている(8月7日は立秋)。一見、日本の季節感が時期的に狂っているように見えるが、実は身近な自然に目を配ると今でも季節の変わりの気配を感じとることができる。

The traditional Japanese sense of the changing seasons is based on close observation of minute details in the natural world.

きめ細かい季節変化を肌で感じたいのなら、ニュータウン周辺の野山をちょっと散策すればよい。昼前後の猛暑を避けて、太陽が西の方に傾いたころに出かけるのがベスト。薄暗い針葉樹の植林のそばを通ると、林の中からカナカナと疳高い鳴き声が飛んでくる。これはヒグラシというセミだ。

夜明けや夕暮れころを中心になくヒグラシヒグラシは、夏と秋が行き交うころのシンボルとして、はるか万葉の時代から詩に登場する。

萩の花 咲きたる野辺に
ひぐらしのなくたるなへに 秋の風吹く
(万葉集巻十の二二三一  作者不明)。

夏が薄れて 秋が満ちてくる

8月は本格的な秋の到来はまだ先のこととなるが、夏が薄れて代わりに秋が満ちてくる様子を毎日のように楽しめる。例えば、夏の絶頂期まで大活躍してきた、丸々太ったコガネグモがだんだん少なくなり、代わりに秋の到来を告げる、スタイルのスリムのナガコガネグモが目立つようになる。8月は稲の出穂期でもある。

 コガネグモの仲間は世界中に生息する。コガネグモとナガコガネグモの二種は分類上の近い仲間であり、大きさも同じ、似たような環境に網を張るが、時期的な住み分けにより競争を避けている。その網には秘密も潜んでいる。ハリー・ポッターは「隠れ蓑」を被ってホグワーツ魔法魔術学校を忍び歩いたが、コガネグモの網に「隠れ帯」がある。詳しくはNPO法人ラーバン千葉ネットワークのホームページをチェックして下さい。

 One night, a band of Viking warriors invaded Scotland. They landed on the beach, then took off their boots and tiptoed quietly towards the Scottish army encampment. Their plan was to sneak up on the Scottish soldiers.

Just as they reached the outskirts, the Vikings stepped into a patch of thorny thistles. 前uch! Ouch!・ They yelled loudly. The Scots woke up. They grabbed their swords and rushed out to fight the invaders. The thistle saved the Scottish army from the Vikings, and became the national flower of Scotland.

[注解]
band一隊  warriors戦士 invade 侵略する land on the beach砂浜に上陸  tiptoeつま先で用心深く歩く sneak up onこっそり忍び寄る encampment陣地  outskirts外れ(陣地の) patch of thorny thistles棘とげのアザミの群落―アザミは英語でthistleというが、ちょっと発音しにくいかも知れない Ouch! 痛い!

注:13世紀、バイキング(ノルウェー王国)の軍隊がスコットランドにせめてきた。ある夜、バイキング達が浜に上陸して、靴を脱いでスコットランド人に陣地に忍び込もうとしていた。ところが、陣地の周りに群衆したアザミを踏んで痛がって思わず大声を出した。スコットランドの兵士たちが起き上がって侵略者を追い払った。ここからアザミがスコットランドの国花に選ばれた。
この同じアザミがニュータウン周辺の道端にも生える。その和名はアメリカオニアザミだが、これは誤称。元々ヨーロッパ原産のアザミが先にアメリカに外来種として帰化して、そこから日本に入ってきたらしい。花はとても綺麗だが、棘が大きくて、堅くて、鋭くて、下手に触ると大怪我する。このアザミの棘を一度見たらスコットランドの花の伝説に納得できる。

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