ちばにう通信

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冬支度

投稿日:2005年12月10日 更新日:

落ち葉の季節を迎えていながらも、多くの落葉樹は枝に葉を留めていたが、ここに来て色とりどりの葉はにわかに舞い始めた。それもそのはず、いよいよ年の瀬となれば、遅れはしても冬は出番を待っているのだから。今年採種した種はすでに休眠に入っている。

秋から初冬にかけての時節は、まさに「実りの時」を実感する日々が続く。サツマイモやサトイモ等、見るからに心身をほぐしてくれそうな根菜類、小さくてもその秘めたる力のなせる技か、豊かな気持ちにさせてくれる様々な豆たち。柿や柚子の色調は、頂く前でも元気を与えてくれている。大根や菜葉は、寒さに向かうなかますます生気を漲らせて行く。そんな数々の自然の恵みに囲まれていると、これまでの疲れ等は吹き飛んでしまい、ただ充実感や達成感とともに深い感謝に満たされる。それらは決してお金では得られないもののひとつだろう。

ありがたい自然からの恵み、無駄にすることなく頂き味わい尽くしてあげよう。たとえ出来映えが一様でないとしても、利用の仕方や食べ方の工夫次第で味わい深くなったりもするのだから、人間の都合で切り捨ててしまうよりはるかに、たくさんの命に支えられていることの実感につながる気がする。

さて、「実りの時」はまた、「冬支度」に追われる頃でもある。恐らくそれは、現代の生活では殆ど時間や労力を割く必要のなくなってしまった作業でもあろう。私も土と離れて暮らしていた時は、さほど必要とも感じなかったけれど、今は事情が違う。本格的な寒さの訪れる前に、作物の寒さよけや保存の為の作業等、かなりすることがある。もちろん自然農の畑では、冬野菜や小苗の株もとも、充分な敷き草やかわいい雑草たちに守られてはいるけれど、冬本番となれば必要なものもある。

その冬支度も、かつての日本の暮らしにおいては、現代と比べようもない程に重要なものだったと思う。殆どの家で、一冬の食料やエネルギー(もちろん石油ではない!)を確保しておかなくてはならなかったのだから。取り分け寒さの厳しい地域の冬支度となれば、暖かい地で育った者には想像すら出来ない程のものかも知れない。ただその厳しい条件が、保存の為の知恵と工夫を生み、各地の食文化を育むことになった訳だから、現代の生活では味わえない豊かさもあったに違いない。昨今の様に冬の心配と言ったら、石油の高騰ぐらいで済む暮らしの中で、世界中から輸入された食べ物が目前に溢れるように並び、いつでも手に入るとなると、冬の備えといっても実感は薄らぐはず。でもその状況は、食料自給率40%、エネルギー自給率4%という数字(解釈に多少の違いはあるにせよ、どちらも主要先進国で最も低い!)が示す通り、本来の姿ではない。今後も気候変動の続くことを想うと、危惧を抱く人も少なくはないだろう。

そんな状況を気にかけつつも、春夏秋冬、いずれの季節においても様々な自然からの贈り物を手にすると、感謝の思いに溢れ、ついそんな心配も遠のいてしまうのだけれど。四季折々移ろい行く自然の美しさに感動しながら、季節を味わい暮らして行く心地よさがそうさせるのかも知れない。そして、「四季」という見事なリズムが、自然からのすばらしい贈り物に思えて来るようになったのは、そろそろ人生を四季に重ねることが出来る程の年を迎えたということの証しでもあるのだろう。

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