ちばにう通信

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基本は「おもてなしの心」

投稿日:2009年10月10日 更新日:

皆さんは懐石料理という言葉を聞いて、どんなイメージを連想されますか。

上品な薄味、ヘルシー、見た目にも美しい盛りつけ・・・・、しかし、懐石料理にはもう一つ大きな特色があります。それは、「人(お客様)をもてなす心」であり、これこそが他の料理と比べて、懐石料理に際立った基本中の基本といえます。

千利休の茶懐石に源を発する懐石料理は、「おもてなしの心」こそがその真髄であり、極寒の季節に開いた茶会で、利休は帰路につく客のためにその草履を自らの懐(ふところ)に入れて温めたというエピソードが伝えられているように、賓客に少しでも快く過ごしてもらうことに意を尽くす、そのような心、気配りを茶懐石の最も重要な「芯」としました。

先日もテレビで雪深い温泉旅館で、訪ねてくる客のために、雪を踏みしめる女将さんの姿が紹介されていましたが、このようなこまやかな気配りこそ、懐石料理やそれにつながる日本のサービス業の最大の特質といえます。

懐石料理では、切身の魚は食卓に出す前に、お客様が食べやすいように、中骨を一本一本「骨アタリ」(毛抜きのような道具)で抜いて調理します。手間がかかる作業ですが、決して手間を惜しまないことこそ、懐石料理の基本です。

お客様に快く過ごしていただくために、調理では味はもちろん、〝見た目〟を非常に重視します。たとえば、カボチャ、大根、芋類など根野菜は、煮くずれしないよう皮を剥く時、角を丸く剥く「面取り」を行います。

硬い食材は、噛みきりやすいよう、裏面に包丁を入れます(隠し包丁)。反対に、見た目を美しくするために食材の表面に包丁を入れることを「飾り包丁」といいます。

外国のレストランやホテルなどでは、客はサービス・スタッフに「チップ」を払う習慣が定着していますが、懐石料理の世界でも、客が帰り際に職人たちに直接「美味しかったよ」などと声をかけ、「心付け」をくださることはあります。

チップはほとんど慣習化され、〝相場〟も成立しているようで、客が店に支払う料金の中に実質的に組み込まれていますが、「心付け」はそういったものではありません。

いわば、チップをあげないと、スタッフの機嫌を損ねるおそれがある一方、心付けはあげると、スタッフに感謝され、より一層お客様に喜んでもらえる料理を創ることにつながるといった違いがあるような気がします。

料理をつくる人と、それを食し、楽しむ人の聞に心が通いあう――、それこそが懐石料理の真髄だといえます。

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