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日本料理の調理場より

投稿日:2009年4月11日 更新日:

料理の世界では、お客様に料理をお出しして、サービスしている時間は全体の3割、残りの7割の時間を仕込みに充てているといわれます。
これから、私の体験談に基づく日本料理の内側の世界をお見せします。料理が食卓に並ぶ前の世界を知っていただくことで、より味わい深く楽しんでいただけると思いますし、また若い人たちが料理の世界に興味をもってくれ、料理人をめざすきっかけにでもなってくれれば幸せです。

つらい修業が料理人を育てる

和食の世界では、経験をつむことによって担当する持ち場が変わっていきます。最初からお刺身を引けるわけではありません。

店によって順序は異なりますが、追い回しからはじまり、焼き場、揚場、脇鍋、脇板、八寸場、煮方、最後は花板を目指していくわけです。

最初の追い回しというのは、要するに雑用係です。誰よりも早く調理場に入り、調理場を出るのは最後ですから、1日のうち18時間くらいは調理場で過ごしました。ミスをすれば殴られることもあり、忙しければ食事もとれません(こんなこと言ったら労働基準法にかかりそうですが)。

それでいてお給料は大体手取りで10万円くらい。それでも、月2万円くらいは貯金していました。なにしろ、お金を使う暇がない。休みは週に1回もありませんでした。

長くてきつい仕事ですが、これを修行と考えるのか、ただの長時間労働と考えるか、ここを頑張れるかどうかでこの先が決まってきます。

残念ながら、最初の追い回しの時点で4割~6割がたの若者が料理人をあきらめるようです。

ただこの時のきつい仕事を経験していなかったら今の自分はなかったので、いい経験をさせてもらったと思います。

良い料理人になるために

良い料理人になるのに何が必要か。手先が器用だからとか、味覚が鋭いなどというのは二の次。まずは根性があるかどうかです。このことは何の仕事においても同じだと思いますが、努力なくして職人は務まりません。努力することを軽視し、将来の為に頑張ろうではなく、今が楽しければそれでいいというような最近の風潮には不安を覚えます。

『若いうちの苦労は買ってでもしろ』ということわざがありますが、今となってやっとわかってきました。自分の店を持った今でもまだまだ修行の身です。覚えること、勉強することは山ほどあります。一生涯勉強です。

次に必要なのは感性。大げさに聞こえるかもしれませんが、料理は芸術です。味はもちろんのこと、見た目もよくなければいけません。器の上に作品をつくるのです。

色合い、季節感の表現を勉強する為によく美術館通いもしました(それまではまったく芸術には興味がなかったのです)。

最近では暖かくなり、店の庭にもいろいろな花が咲いてきてにぎやかになってきているので、それを見るたびに新たな創作意欲がわいてきます。

(写真・季節の和菓子 桜香寄せ)

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