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脱石油!考

投稿日:2006年8月12日 更新日:

自然の様々な形や彩りに満たされた夏の畑は、さながらキャンバスに描かれた完成間近の絵のようだ。すべてが渾然として輝いている。出来ることならもう手を加えることなく、この情景を静かに眺めていたいが、天候や刻々と変化する作物によって、そうもいかない。それが命あるものの証しでもあるけれど。

「季節の移り変わりがどうもおかしい」と感じ始めてからだいぶ経つ。年々際立ってくる天候不順や気候変動を考えると、今後は作物を育てるのもこれまでのようにはいかないのでは、という思いが年ごとに強まっている昨今の状況だ。

ただ、ありがたいことに、日照不足や長引いた梅雨と気がかりな天候が続いた今夏も、暑さの戻った現在、これまでの遅れを取り戻すかのように、オクラやスイカ等も、勢いよく丈や蔓を伸ばしている。もちろん幼苗の頃には多少の心配りは必要だったが、全体として見ればほぼ順調に育っている。

やはり、これまであまり過保護にされずに代を重ねてきたことがよかったのかも知れない。普段から農薬や多肥料に頼らないで作り続けている作物は、自ら育つ力が損なわれず残っているのではないか。どんなに安定的で多収穫になるからといって、様々な「便利な資材」(ほとんど石油が原料)を多用していたら、こうはならなかったろう。

現代社会は日々の暮らしに始まり、様々な製品の生産、加工、流通、消費まで、「安い石油」に支えられている。私たちの生存基盤のひとつである食料を生産する農業とて例外ではない。社会のすべての土台となってしまった「安い石油」が変調を来すことの影響は計り知れない。

価格が「高騰」するだけでも多大な影響があるが、これがさらに量的な「減少」と連動するとなると・・・・。最近、「ピーク・オイル」という耳慣れない言葉を耳にした。原油の生産量がピーク(最高点)に達する「ピーク・オイル」は、これまでずっと先と思われていたものが、一説には、まさしく到来しつつあるというのだ(ついにというべきか)。

以前は1バレル(159リットル)相当のエネルギーを使って100バレルの原油を生産出来たものが、現在では様々な要因から、同じ1バレル相当のエネルギーを投入しても15バレルの石油しか出来なくなっていると聞くと、「減少」も納得せざるを得ない気持ちになる。

しかし、世界中ではさらに消費量が増えている。そんななかで生産量が「減少」に向かうことになれば!?

もっとも、「高騰」や「減少」もマイナスばかりでもあるまい。数々の紛争の原因ともなっている上、様々な気候変動の源である地球温暖化の主要な要因でもあるとなれば、かなり手荒い方法にせよ、否応なくその使用を減らさねばならない状況が来ることは、結果的に紛争の火種も減り、二酸化炭素も減ることになるのだとしたら。

とは言うものの、現状を考えると、すんなり軟着陸するとはまず思えないが。

少なくとも、生存基盤でもある食料に関して言えば、これまでのように「安いエネルギー」として、生産、加工、流通等に多用出来なくなることを考えると、なるべく無駄なエネルギーを使わずに済むような、地域に合った自給システムに少しずつでもシフトすることが重要になって行くことだろう。

一例としては、以前ドイツで見た光景がとても印象に残っている。それはさほど大きくない市の郊外に美しく広がるクラインガルテン(都市住民のための菜園)である。世界には他にも、デンマークのコロニーガーデン、ロシアのダーチャ(国民の半数以上が所有し、農地の三分の一以上を占めるというから驚く!)、そしてキューバの例等、それぞれの国や地域で、それぞれの事情や特性を生かした自給や自立のためのシステムがある。

折しも、「原油の高騰」が様々な方面に影響を及ぼし始めた今であれば、あらためて私たちの日常が、「安い石油」に支えられていることを考えてみるのによい機会でもある。と同時に、一歩ずつでも、「脱石油」を考慮したライフスタイルや社会のシステムを真剣に選択すべき時が、いよいよ到来したということではないだろうか。

(カット・著者作)日ごとに大きくなるオクラはやがて2mにも!(背の高い品種)

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