ちばにう通信

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(番外編)その六 不思議な国イエメン<後編>

投稿日:2006年4月15日 更新日:

イエメンの女性
 紅海の入り口で古くから港町として開けたアデンや、首都サナアの新市街では男女とも洋服姿が多いが、旧市街で成人女性の素顔や、洋服姿を観光客が眼にすることが出来るのはホテルのフロントくらいと言ってよい。

街中や畑で見かける女性の多くはチャドルという全身を覆う黒い衣装を着ている。砂漠に近い地方に行くと、更にその上に薄いベールを被っている。これは異性に肌をさらしてはならないという戒律と、砂塵や太陽光線から身を守る効果を考えてのことであろう。

外国からの女性の観光客もベールを着用するよう求められる地方やイスラム寺院もあるが、特に髪の毛は異性の劣情を刺激する?ものとして隠すことを要求される。

写真1の黒衣の女性はアラビア海に臨む港町ムカッラから北へ二五○キロ程のアルハウダ地方の農村で写したものである。チャドルを着た上に日除けの尖った麦わら帽子を被って農作業をしている、この地方特有のものである。

これだけの重装備でも近寄って写真を撮ることを許して貰えなかった。

では、あのチャドルの下には何を着ているのであろうか。これは、男性でなくとも気になることである。

写真2は、農村の雑貨店で売っているインナーウエアである。首都のサナアなど大都市の洋品店では、日本のスーパーの婦人服売り場と見紛うほどの色彩やデザインの衣料が売られている。家族だけや、女性同士の集まりではチャドルやベールは脱いでくつろぐそうである。

瘤とり爺さん
こぶとり爺さんを最初に見かけたのはサナア旧市街のスーク(市場)であった。片頬を大きく膨らませた男があちこちで商いをしている。これはカートというアカネ科の多年生草木の、朝取りした柔らかい葉を口に含み噛み潰してエキスを飲み下している風景である。カートには軽い神経を興奮させる作用があって、酒を飲まないムスリムの男たちの楽しみである。一人で、或いは数人が集まって、我々がチューインガムを噛むような形で常用している。ガムと違うのはエキスを飲み込んだあとも葉を吐き出すことなく、次々と葉を補充して、二、三時間も口のなかに溜めて口を膨らませていることである。驚いたことに仕事中の警官や軍人、運転手も楽しんでいることである。

私も勧められて口にしたが、日本の茶の葉から苦みを取ったような何とも締まりのない味であった。

モカ
モカと聞いて連想するのはコーヒーのことであろう。

いまモカと言えばコーヒーの種類として人口に膾炙しているが、元はといえばアフリカ大陸やアラビアで収穫されたコーヒー豆が紅海に臨むイエメンの港街モカに集められ、ヨーロッパやユーラシア大陸に積み出されたことによる。のちにコーヒー豆の種は密かに持ち出され、イエメンの独占的特産物ではなくなり、かつての商館は見るも無惨な姿をさらしていた。

いま、原種に近いコーヒー(イエメンではカフワ)が栽培されているのは幹線道路から外れた、二千メートルの高地の棚畑で、部族社会の色濃いこの地方に入るには有力者の案内が必要であるという。

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