ちばにう通信

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(39)老舗の見事な気配り

投稿日:2007年5月12日 更新日:

朝、新聞をとりに行くと、門にビニール袋がつり下げられていて、太い竹の子が二本。「わあーっ、初物だー」と大よろこび。

早速糠を入れて茹ではじめる。やがて竹の子の良い香りが・・・・。「ああ、この匂い、京都の・・・・」と思い出していました。

ずいぶん前になります。大阪へ里帰りした時、中小企業の女社長をしている友人が、「今日一日は私につき合って」と、京都へ連れて行ってくれました。

四条通りから八坂神社、円山公園と歩き、「ねねさんのお寺」の近くに来ると、何となく懐かしい良い匂いがしてきました。二人は顔を見合わせ、思わず声を揃え「竹の子を茹でてる匂いやねぇ」。

彼女はつづけて「これはたっぷりの糠でしっかり茹でてる匂い、きっとお料理もおいしいはず。行こう!!」と、食い意地の張った二人の鼻が探し当てたお店へ。

しかし、営業時間外で、Tシャツにジーンズ姿の娘さんが桜の花を生けています。「お食事させていただけませんか」とたずねると「散らかっていますが、どうぞ」とお座敷へ通されました。

見事でした。

床の間のお花をはじめ、トイレのすみずみまで、細かい神経がゆきとどいています。お料理も、たとえばうすい鯛のお刺身が大皿いっぱいにきれいに並べられていて、一つ一ついただいていくと、下には桜の花びらがびっしり敷き詰められているなど、どのお料理にも板さんの心意気が表れています。

その上、〝間〟がよくて、ちょうど食べ終わった頃を見計らうかのように、次の料理が運ばれてきます。

すっかり気分を良くした友人、お酒の勢いもあってか、ついには女中さんに向かって「あんた、ここでどれくらいもらってるの知らんけど、しょうもない所で働くのやったらここで修行させてもらったらええ。おかみや板さんの顔は知らんけど、この店やったらええ! これだけの雰囲気、内容、どれをとっても見事や。ここでがんばったら、きっと成功するで」

その子は笑って聞いていました。

やがてお勘定して、お店を出ようとしたら、品の良い女将が出てきて、「今日はありがとうございました。こんなうれしい日はございません。初めてのお客様にこんなに言っていただいて」とお土産を持たせてくださいました。

私たちは知らなかったのですが、有名なお店らしいのです。「和久傳」という。

ジーンズでお花を生けていたのは娘さんで、後で髪をきりりとアップにして、和服姿であいさつに来てくださいました。

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