ちばにう通信

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(9)ン十回目の結婚記念日に

投稿日:2004年11月13日 更新日:

楽器店の人に聞いた話ですが、机の上に置いてあるフルートが、風で鳴ることがあるんですって。きっと微かに耳に届くような、やさしい音なんでしょうね。

今日は爽やかな風が吹いています。ベランダから入って部屋の窓をぬけてゆく風、私の頬を撫でて、次はどこへゆくのでしょうか。

火薬の匂いはしないけれど、もしかして遠く戦争している国から来たのでしょうか。それとも傷ついている人たちを、これから癒しに行くのでしょうか。風さん、爽やかな風さん、お願いだから新潟の方に行ってください。そして不安におののいている人たちにやさしく吹いてあげてください。

秋風とともに舞い込んできたハガキ、「御結婚記念日おめでとうございます」。北海道紋別直送、帆立貝の結婚記念日特別コース、今すぐ御予約をとあり、笑っちゃいました。そういえば十一月十五日は結婚記念日です。わが家では「結婚○回忌」といっています。式を挙げたのも「仏滅」の日でしたので・・・・。

今でこそ死語になりましたが、私の娘時代、二十五歳を過ぎると「行き遅れ」といって親も親戚も周りの人もそれはそれは何とか早く誰かと結びつけないと一生嫁のもらい手がなくなると、いろいろ世話をやいてくれました。

「行き遅れ」と「出戻り」、この二つの言葉は強迫的に迫ってきておちおちしてはおれませんでした。今なら「出戻り」も明るく「バツイチよ!」といってますが、当時はそんな娘でもいようものなら、その親はもちろん、兄弟姉妹までとても肩身のせまい思いをしていました。私も長女の身でそんなことになれば弟たちの縁談にも差し支えると思っていました。今は良い時代になりましたが、その代わり世話をやく人もいなくなりました。

「降る星のごとく」あった縁談もとぎれて、「ハイごめん、ごめん」とかき分けていた男友達もそれなりに落ち着き、少々あせり気味の時ぶら下がっていた釣り糸に思い切り食いつき、ぎりぎりセーフとあいなりました。「何、結婚指輪?今にグリコのおまけで当ててやる!」という言葉に望みをつなげ、四十二年が経ちました。

お金には縁がなかったけど、苦労と思ったことはありませんでした。でも一つだけ忘れられない思い出があります。友人に頼み込まれ、そのころ流行していた「プリーツスカート」の寸法直しのアルバイトを始めました。ある時実家の母が訪ねてきましたが、締め切りに追われ、足の踏み場もないところで懸命にミシンを踏んでいる私を見て、ただ黙って片づけ、買い物に出かけ食事を作り、台所、お鍋等、ピッカピカに磨き上げ帰っていきました。母が帰った後、座布団の下からちり紙に包まれた千円札五枚が出てきて、私はその場に号泣しました。

夫は結婚記念日は覚えていて「今日結婚○回忌やなぁ」と云います。プレゼントはありません。

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